夏の北海道をキャンピングカーで一周してわかった良かった点と注意点
先日、妻が5年勤めた職場を退職した。
経緯は割愛するが、理由の一つは夏休みを子どもと過ごしたいという事。
なので夏休み直前に退職することに。
退職を決めたのがゴールデンウィーク明け。夏休みの2か月半ほど前。
そこで妻がせっかくだし家族旅行に行きたいと言いだした。
最初は海外旅行というプランもあったが、パスポートも取らないといけないし、滞在型ではなくアクティブに動き回るのが好きなので海外を小学生を連れてまわるのには不安もある。
なので色々考えた結果、国内旅行に行くことに。沖縄には行ったことがあるので、大分から一番遠い北海道に行くことに。
しかも、キャンピングカー。
筆者の夢の一つである「キャンピングカーで日本一周」を覚えていてくれていたようで、妻から提案してくれた。
ということで7泊8日の北海道1周旅行に行き、先日帰ってきたのだが、もしかしたらこの体験談が誰かの役にたつかもしれないのでシェアしたいと思う。
良かったこと
今回、子連れということもあり、事前の調査、準備は割と周到にやったほうだと思う。
その結果やっといて良かったと思う事は多かった。
良かったこと①早めに予約したこと
これは良かったことというよりも必須かもしれない。夏の北海道は大人気だ。キャンピングカーにしろホテルにしろ航空券にしろ、早く予約するに越したことはない。
まず、最初にするべきは航空券の確保。とりあえず行かないことには話にならない。
それに、早いほうが航空券も安いし良い座席も取りやすい。
ちなみに、今回福岡空港から札幌新千歳空港まで直行便を利用したのだが、値段はいくらかかったとお思いだろうか?
実は、筆者は最低でも一人往復5万はかかると思っていたのだが、4人家族往復でたったの8万だった。片道一人1万円の計算だ。
これは嬉しい誤算だったのだが、2か月以上前だったというのと、格安チケットをネットで購入したというのが良かったようだ。
ちなみに今回利用したのは格安航空券のネット販売では最大手の一つである「SKY TICKET」
操作画面もわかりやすく、予約確定のメールもわかりやすい。
そして、航空券を確保したら次に行うべきはキャンピングカーの確保。
人間考える事は一緒のようで、夏の北海道のキャンピングカーは需要がめちゃくちゃ高い。
筆者は2か月前に予約したが、第一候補のお店はタッチの差で間に合わず予約不可。
その後色々探してようやく予約できるお店をみつけ、何とか予約できた。
しかもそれも先に予約していた外国人がキャンセルしたからという理由。
ある程度まとまった期間予約したいなら、少なくとも3カ月以上前に予約したほうがいいかもしれない。
キャンピングカーのレンタルを行っている会社ではリアルタイムで予約状況が確認できる事が多い。
↓イメージ
定期的に見ているとどのくらいのペースで予約が埋まっていくかがわかる。
あと、全行程キャンピングカーなら不要だが、一部ホテルも利用したい場合も予約は早いほうがいい。
後述するが筆者も道南はホテルを利用した。
これも予約は2か月前だったが、ホテルがひしめく札幌でも大半のホテルがすでに満室になっていた。
「当日でもどっか空いてるだろう」などと考えていると悲惨な結果になりかねない。
ホテルは1週間前までならキャンセルしてもキャンセル料はかからないので、とりあえずでも押さえておくことをおススメする。
予約サイトは色々とあるが、ホテル数、プラン種類、操作性などを考えると楽天トラベルがおススメだ。
あとは、空港近くの駐車場も混雑するので、車で空港まで行くならこれも早く押さえておいたほうがいい。
おススメはネットで予約できるakippaだ。
良かったこと②事前にしっかりコースを考えた事
今回、「NEXT LIFEレンタカー」というレンタカー会社を利用したのだが、そこの担当さんが非常に親切な方で、予約の段階で色々とアドバイスをしてくれた。
※上記のリンクでは本拠地の埼玉と記載があるが、北海道にも千歳営業所と女満別営業所がある。
アドバイスの一つが「コースはしっかり考えておく」という事。
自由気ままに行動して、好きな所で寝れるのがキャンピングカーの醍醐味でもあるため、全くのノープランで来る方が多いそうなのだが、ほとんどの場合思っていたほどの満足が得られず後悔して帰っていくらしい。
筆者もノープラン旅は好きなのだが、そこまで言うならと思い大まかな計画を作ったのだが、これが非常に役にたった。
もちろん全て計画通りに行くわけではなく、予定に無かったところに行って計画の修正が必要だった場面もあったし、時間の都合でやむなくカットした観光地もあった。
それでも全行程を通して順調に旅を続けられたのは軸となる計画があったからだと思う。
それに、計画をたてる一番のメリットは計画を立てる段階で色々と事前情報が入ってきて現地で情報収集する時間が短縮できる事。
スマホの普及で旅行中に色々調べることはできるが、現地で調べるのに時間をかけるのはもったいない。事前に調べておいて、現地では観光に時間を割いた方がいいと思う。
できればどこ行きたいかもリストアップしておいて、現地で意見の食い違いが起こらないようにすり合わせしておくと、現地でモメることもない。
参考までに筆者が作った計画表の画像を添付しておく。
総制作時間は8時間。移動時間までグーグルマップで調べたので、予想外に時間がかかってしまった。休日を1日潰して作ったがその甲斐はあったと思う。
作るのも結構楽しかった。
ただ、今この計画表を見て思うのは、「全然予定通りになってないなw」という事。
初日えりも岬で日の出を見るという計画だったのだが、あいにく天気が悪く、えりも岬をカットして帯広に行ったので全行程かなり変わってしまった。
宿泊予定地に至っては前半は全て全く違う所で宿泊している。
とはいえ、絶対に行きたかったところは全て行けたので、それは軸となる基本プランがあったからだと思っている。
良かったこと③道南はキャンピングカーを使わなかった事
これも「NEXT LIFEレンタカー」の担当さんのアドバイスだが、札幌、函館、小樽といった道南では、市街地の移動にキャンピングカーは不向きとの事。
道が狭かったり、駐車場に泊められなかったりと不便なことも多い。
あとは張り出した看板が多いのでうっかりぶつけてしまうことも多いようだ。
なので、道央、道東、道北はキャンピングカーで周り、一度千歳で乗り換えて道南は普通乗用車で周った。
キャンピングカーがタウンエースをベースにしたものだったが、普通乗用車はノーマルのタウンエース。運転席の仕様はほぼ一緒で慣れていたからか運転しやすかった。
実際、市街地は道も狭く駐車場も立体が多いので、キャンピングカーじゃなくて良かった、と感じる場面は多かった。
市街地には興味がない方には関係ないと思うが、北海道の市街地観光もなかなか楽しいので、参考にしてもらえればと思う。
良かったこと④ポータブルバッテリーを持って行った事
この旅行の数カ月前に、車中での仕事用としてポータブルバッテリーを買っていたのだが、念のため持って行ったところ非常に役に立った。
もちろん、キャンピングカーに装備されているサブバッテリーでも各種充電は可能だが、コンセントなどは後部座席にあるので、運転中にグーグルマップを使いながら充電するという事ができない(かなり長い充電コードを持っていけば別だが)。
その点、ポータブルバッテリーを運転席近くに置いておけばそうした不便さもなくなるし、道南を普通乗用車で周る際にも役に立つ。
ただ、一つ注意してほしいのが、バッテリー容量が大きすぎるものは機内に持ち込みができない。なので、飛行機で現地まで行く場合には制限内のバッテリーが必要だ。
具体的には、160whを超えるものは機内に持ち込みができない。預入荷物に入れることもできない。というか、むしろ大容量バッテリーは自分で手荷物として持っていなければならない。おそらく預入荷物に入れてしまうと発火した時に消火できないからだろう。
もし、ポータブルバッテリーを持って行くなら、「suaoki S270」がおススメだ。
サイズもコンパクトで車種によってはダッシュボードにも納まる。150whなので機内持ち込みも可能だ。実際、筆者も今回機内に持ち込む事ができた。
充電もシガーソケットからもできるし、通常のコンセントからすることもできる。使った事はないがソーラー充電機能もある。
出力もAC電源2か所、USBポート4つ、シガーソケット出力1つと豊富だ。
さすがに電子レンジやドライヤーといった発熱系のものは使えないが、スマホやデジカメといったデジタル系なら十分だし、ノートPCも2回満充電できるとの事。
ちょうど良いサイズ感で、今回のキャンピングカー旅以外にも仕事に遊びに大活躍している。いざという時の非常用電源としても使えるので、一度検討してみる価値はあると思う。
良かったこと⑤風呂には意外と困らなかった事
今回一番懸念していたのが、ちゃんと毎日お風呂に入れるかどうかという事。
筆者一人ならともかく、妻子を連れていくので「今日はお風呂は我慢して」というわけにはいかない。
ただ、今回旅行した中ではお風呂に困る事はなかった。ある程度の規模の町にはまねきの湯レベルのスーパー銭湯は必ずあったし、小さな町でも銭湯はあった。
ただ、営業時間が短かったり定休日があったりするので、毎日お風呂に入りたいならある程度リサーチしておいた方がいいと思う。
「地名 日帰り 入浴」などと検索するとその土地で利用できる温泉などが出てくる。
ただし、情報が古い場合もあるので実際に電話して確認するのが一番確実だ。
注意点
実際に行ってわかった注意点というのがいくつかあったので、こちらも紹介しておこう。
注意点①ガソリンはこまめに給油する
これは特に道東で要注意だが、峠道などでは走っても走ってもガソリンスタンドが無いという事もある。
筆者はこれも「NEXT LIFEレンタカー」の親切な担当さんに聞いていたのでまめに給油してガス欠にはならなかったが、一度だけ危なかった事があった。
それはガソリンスタンドの営業時間が原因。
道の駅摩周温泉で宿泊しようと向かっていて、近くにガソリンスタンドがあることも調べていたのでそこで給油しようと考えていたのだが、途中とてもキレイな景色があったので写真を撮っていたら少し遅くなり着いたら19時過ぎですでにどこも閉まっていた。
大分の感覚で20時くらいまでは開いているだろうと思っていたが甘かった。
翌日は早朝出発したいと思っていたのだが、朝も7:30にしか開かない。
幸いまだ少し余裕があったので、次の場所で給油するか迷ったが、そこまでもつかわからない以上下手にリスクをとらない方がいいと判断して7:30まで待って給油して出発した。
この判断が良かったかどうかはともかく、道東では日中ガソリンスタンドを見つけたらとりあえず満タンにしておくことを強くおススメする。
営業時間や定休日にも注意が必要だ。
注意点②夜間の運転は動物の飛び出し(特に鹿)に注意
「NEXT LIFEレンタカー」の方からこれも聞いていたので、なるべく夜間は運転をしないよう気を付けていたのだが、どうしても遅くなって暗い時間に運転してしまう事もある。
筆者も日が暮れてから峠道を走っていたのだが、カーブを曲がったところで鹿が飛び出してきたのは本気で焦った。
幸いはねる事はなかったが、しばらく心臓がバクバクしていた。
こうした鹿の飛び出しが原因の事故は少なくないようなので、なるべく夜間の運転は避け、やむを得ない場合はスピードを落として運転することをおススメする。
このような道路表記を至る所で見かけた。
注意点③夏の北海道は意外と暑い。意外と虫も多い
北海道といえば北国、毎日涼しく夜間は寒いくらいだと思い込んでいたが、それはただの思い込みだった。涼しかったのは天気が悪かった最初の数日だけで、天気が良くなってからは九州と変わらないくらい暑い日が続いた。
旭川は特に暑く、旭山動物園に行った時には35度の表示が出ていてゲンナリした。
まぁ同じ夏休みとはいえ8月後半にもなるとだいぶ涼しくなるみたいなので、7月末に行く方は要注意といったところだろうか。
あと、涼しいので虫も少ないと思い込んでいたのだが、これもただの思い込みで、大分市内よりも全然多かった。
一日走るとフロントガラスには虫がびっしりついているし、道の駅の街灯にはたくさんの羽虫がたかっていた。
道の駅に宿泊する場合は街灯から離れた場所に駐車する事をおススメする。
ベテランのキャンピングカー旅行者を観察していると、その日の宿泊地についたらまず最初に洗車をしていた。虫は時間が経つとなかなか落ちないからだろう。
だからなのか、洗車道具を持ってないから仕方なく虫をつけたままで朝出発していると、ジロジロ見られた。まぁせっかくの景色を虫のついたガラス越しに見るかキレイなガラスで見るかでは全然違うから、フロントガラスに虫の死骸をつけたまま出発するというのは理解しがたいのかもしれない。簡単な洗車のできるブラシくらいはあった方がいいかもしれない。
注意点④コンビニは24時間開いていない事が多い
市街地で生活していると、つい「何か足りなくなったらコンビニで何とかなるだろう」と思いがちだが、北海道のコンビニは24時間営業ではない事が多い。
セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなら24時間営業しているが、北海道で最も数の多いコンビニであるセイコーマートは札幌などの都市圏を除き24時間営業しているところは少ない。
早朝目が覚めてお腹が空いてコンビニを探して、やっと見つけても開いていないという事もあるので、コンビニを過信せず食事も計画的に準備しておいた方がいい。
注意点⑤ゴミの処理は計画的に
北海道で驚いた事の一つに、「ガソリンスタンドでゴミの処理ができない」という事がある。
大分のガソリンスタンドでは向こうから「ゴミないですか?」と聞いてくれるので、北海道でもそうだと思い込んでいたが、少なくとも今回給油した中ではゴミの処理をしてくれるガソリンスタンドは一軒もなかった。
おそらく協議して「ゴミは引き取らない」と決めているのだろう。
道の駅でもゴミ捨て禁止のところは多いので、ゴミの処理は計画的に行う必要がある。
具体的な方法はいくつかある。例えばその土地のゴミ出し日に有料のごみ袋を買って処理するなどだ。
ただ、それだとかなりめんどくさい。なのでおススメは気持ちよくゴミを捨てさせてくれるところで捨てさせてもらうことだ。
具体的な店舗名を出すのは気が引けるので自主規制させていただくが、北海道のあちこちにある某グループ店では、自由にゴミを捨てさせてもらえる。中には「どうぞご自由にゴミをお捨てください」と張り紙をしている店舗まであった。察しの良い方は気づいたかもしれないが、あのグループだ。
ただしゴミだけ捨てるというのはモラル的にどうかと思うし、今後そのグループまでゴミ捨て拒否するようになると一気に北海道でのゴミ処理のハードルが上がってしまうので、せめて何か買うようにしてもらいたいと個人的に思っている。
実際、筆者も何か買うようにはしていた。飲み物や軽食などの小額のものだが、それでも買うのと買わないのとでは大きな差があると思う。
あと、一気に大量に捨てるのも迷惑がかかるので、なるべくこまめに処理する事をおススメする。レジ袋を上手に活用して捨てるのがポイントだ。
最後に:キャンピングカー旅行は節約にはならない
北海道をキャンピングカーで周ったというとよく誤解されがちなのが、「節約のためにキャンピングカーで周った」と思われることだ。
しかしこれは完全に誤解と言える。夏の北海道でキャンピングカーを借りようとすると最低でも1日3万円はかかる。
一方、普通乗用車なら1日5千円程度で借りられるし、ホテルも家族4人2万円以下で泊まれる宿は少なくない(早期予約の場合。直前だと高い所しか空いていない場合も多い)。
しかもキャンピングカーは設備が多く重たいので燃費もよくない。
なので、旅費を節約したいなら、安いレンタカーとホテルを利用するか、いっそツアーを利用した方がいいだろう。
ではなぜあえてキャンピングカーを利用するかというと、自由だとか楽しいとか色々あると思うが、やはり一言で言うならそれが「ロマン」だからとしか言えないように思う。
キャンピングカーでの旅はキャンピングカーでの生活そのものを楽しむ事に意味がある。それが今回のキャンピングカー旅で一番感じた事だ。